乙女の金沢 春ららら市2019

今日は。あめつちです。

しいのき緑地にて開催「乙女の金沢 春ららら市2019」に参加します。

よろしければ行楽にお出かけください。

お待ちしております。

 

「春」

春がやって来た。日に日に濃くなる生命の気配に当てられて落ち着かない。そういえば昔はこの感じが少し苦手だったっけ(いつの間に「過去」になったのだろう?)。

家の一画に小さな花壇スペースがある。昨年春に越して来てせっかくなので色々なハーブの種を蒔いた。ローズマリー、イタリアンパセリ、大葉、パクチーなどなど…。それ以外にも元々花壇には茗荷や山椒が自生しており、とにかく食べられる植物でいっぱいにしたかった。花は好きだが植える気は無かった。

以来トトロのメイちゃんよろしく、播種した一帯をチェックするのが日課になった。しばらく後、順調に発芽しスクスクと成長したハーブ群は、夏には食べきれないほど花壇いっぱいに繁茂した。

最初に異変に気付いたのは夏の勢いにも翳りが見え始めたお盆過ぎだったか。朝、水撒きしようと花壇に出たらどこか違和感を感じた。妙に色彩が薄い…?一瞬気のせいかとも思ったが、気のせいでは無かった。よく見てみると数種類大小様々なアゲハ蝶の幼虫、つまりイモムシが大量発生し、酷暑による遅れを取り戻すかの様に凄い速度で一心不乱に葉を食んでいた。すでに大葉は被害甚大、難を逃れているのはローズマリーだけ。

発覚当初は私も負けじとハーブを摘んでは食べていたが、イモムシ達の尽きることの無い旺盛な食欲を前にすっかり呆れて次第に張り合う気も失せてしまった。溜め息まじりにそれでもせっせと水遣りをしていると、絵付係Mに「ソレもうあなたが飼ってるよね」と皮肉を言われたが冗談じゃない(ちなみにMは重度のイモムシ恐怖症なので花壇には近寄りもしない)。

イモムシ達は私のハーブ群をどんどん食べてどんどん太ってどんどん羽化し旅立ってゆく…。半ば呆れ半ば感心しながら日々その様を眺めていた。ほぼ全ての葉を食べ尽くすと、仕方がない、という感じでイモムシ達は残った茎を食べ始めた。

茎もだいぶ食べ進められ、次第に地面の土が露わになってきた頃、ようやく最後の一匹となったイモムシも無事蝶となり羽ばたいて行った。季節はすっかり移ろい、スカスカになった花壇の上には僅かに冷気を含んだ軽やかな秋風が吹いていた。

…お粗末さまでした

急に高くなった空に向かって独りごちた。

 

季節は巡る。長い冬が明け再び春がやって来た。陽の溜まった花壇を眺めていたらまた何か植えようかなぁという気になってきた。Mに言うと、どうせ食べられちゃうのに何で植えるの?と苦笑いされたが、それはやっぱり何と言うか、「春」だから。

おわり

 

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